アイスランド政府、英国企業の「アイスランド」商標の無効をEUに提訴 ― EU ―

2016年11月26日、アイスランド外務省は欧州連合(EU)知的財産庁に対して商標権無効を訴えて提訴したことを発表した。対象となっている商標権は「アイスランド」という言葉で、自分の国の名称を自由に使用できないのはおかしいとしている。
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訴えているのはアイスランド政府であり、欧州連合知的財産庁(EU-IPO)に対して英国企業が持っている「アイスランド」という言葉の商標権の無効を主張している。現在「アイスランド」という言葉の商標権者は、英国の食品スーパー「アイスランドフーズ」となっている。

アイスランド国内の企業が社名や商標の一部に「アイスランド」という言葉を使用すると、「アイスランドフーズ」は法的措置を講じて使用差し止めを起こしており、アイスランド国内で製造された製品をアイスランド製と表現するのも難しい状況だ。

アイスランド政府はアイスランドフーズと協議をしたものの合意できなかった。そのうえアイスランドフーズ側は両者の事業活動の間で混乱が起きかねない分野では既得権を積極的に擁護する姿勢を明確にしており、今回の提訴に踏み切った形だ。

日本の商標審査基準を定める商標審査便覧(41.103.01)によると、国家名、国家名の略称、現存する国の旧国家名は、原則として、商品の産地、販売地(取引地)又は役務提供の場所(取引地)をあらわすものとして拒絶することになっています。

ちなみに、国家名や国家の略称等の著名商標は、商標法第4条第1項第15号の「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は登録を受けることができない、という規定によって、その登録が拒絶されます。

アイスランド(正式名称は「アイスランド共和国」)は、北ヨ―ロッパの北大西洋上に位置する人口約33万人の小さな国ですが、日本の商標審査基準に照らして考えると、英国企業が「アイスランド」という国家名の略称を商標登録できたことが不自然なことであり、アイスランドがその商標登録の無効を求めて提訴するのは当たりまえのことです。

今後、EUの知的財産庁がアイスランド政府の提訴に対してどのような判断を下すのかが注目されます。

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