シャープ、欧州でのテレビ商標供与により事実上の撤退 ― EU ―

2014年9月26日、シャープはヨーロッパの家電メーカーに商標供与をすると発表した。
(参照:インベブ社 商標をめぐり「バドワイザー」を「バド」へ ― イタリア ―

これは、2014年3月期の欧州テレビ事業の赤字を受けて行なった家電事業構造改革に基づくもので、欧州での赤字もテレビ事業全体の収益も改善する見込みとなっている。

この決定によりシャープは、「シャープ」ブランドでのテレビに関する販売権利をスロバキアのテレビメーカー、ユニバーサル・メディア・コーポレーション(UMC)社に供与することになる。

また、ポーランドのテレビ工場の売却交渉も始まったとされる。さらに「シャープ」ブランドでの白物家電に関する販売権利をトルコのベステルに販売権を供与することとなった。

これに伴い、シャープの欧州事業で300人の人員削減をすることになり、テレビ事業においては欧州より事実上の撤退をすることになる。これまでも同社は欧州における太陽電池事業からの撤退やブランド供与への転換により欧州での構造改革を行なってきた。

不採算部門から撤退し、経営資源を成長部門に集中することは企業経営の鉄則です。

苦戦する欧州市場でのテレビ事業などから手を引き、その分採算の取れるアジア地域での活動へ力を注ぐことは、人員削減が伴うことは決して看過できない問題であります。企業の経営体質の強化という観点からは、正しい選択とも言えます。

なお、ここで、欧州での事業からただ撤退するのではなく、今まで培ってきた欧州でのシャープ家電のブランドを、商標供与という形で、無駄にすることなく有効に活用するところが特筆すべきです。

撤退とともに、その商標が使われなくなれば、欧州でのシャープは消えてしまいますが、会社は異なってもシャープブランドで商品を販売するところがあれば、欧州でシャープの名前は消えることはありません。

しかも、シャープにはロイヤリティー収入が入ります。まさに、一石二鳥の方法といえましょう。

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